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7.失敗を書く

普段の仕事で報告書を書いたり、誰かに話す内容はどのようなことでしょうか?

 

多くの場合、「現在の状況」ではないでしょうか。具体的には、「自分がやったこと」「うまくいったこと」「課題」といった内容が主になるかと思います。これらは業務報告として非常に重要であり、仕事が回っているのであれば問題ありません。しかし、もしこれに加えて「失敗」を書き、それを人に話せるようになったら、どうなるでしょうか?

 

ここでいう「失敗」とは、「何かやらかしてしまった」「謝罪した」というような大きなミスやトラブルを指しているわけではありません。それは確かに「失敗」の中でも「本当に起こしてはならないこと=トラブル・インシデント」に該当しますが、ここではもっと手前の段階、つまり「予測や期待と異なる結果が出た」ということを「失敗」と捉えてみてください。

 

たとえば、「こうすればうまくいくはずだ」と考えて実行したが、結果が思うように出なかった、という状況です。このような失敗は誰にでも起こり得ますし、むしろ新しいことに挑戦していれば必ず遭遇するものです。重要なのは、このような失敗をどう活かして次に繋げるか、という点です。

 

失敗を「予測や期待と異なる結果が出た」と再定義することで、記事に書く内容も自然と変わっていきます。それは、「予測・期待=仮説」「仮説に基づいたアクション」「アクションした結果」という形になり、さらに「仮説・アクション・結果に対する分析・考察」と「次の仮説」を生み出すサイクルが生まれるでしょう。

 

周りの人が本当に求めているのは、単なる成功談ではなく、そうしたプロセス全体の共有ではないでしょうか。失敗を含むプロセスを共有することで、他の人が同じ過ちを避ける手助けにもなり、また新しい視点やアイデアを得られるきっかけにもなります。

 

ここで考えてみていただきたいのは、「価値」というものの本質です。価値は、「ニーズ」と「希少性」から生まれます。あなたが提供する情報(報告や会話の内容など)の希少性を高めるためには、前述のような「失敗」を含む内容を記録し、それを人に話すことが非常に有効です。そして、そこから得られた反応をもとに次なる仮説やアクションにつなげるのです。

 

たとえば、次のような問いを自分自身に投げかけてみるとよいでしょう。

 

自分の仮説はなぜ結果と異なったのか?

他の人の視点ではどのように見えるのか?

どうすれば次回はより良い結果を出せるか?

これを繰り返していけば、自分の能力は確実に向上していきます。また、周りからの信用も得られるでしょう。失敗を活かす力を持つ人は、プロジェクトを成功に導く上で非常に重要な存在として評価されるからです。そして何より、このプロセスを通じて「トラブル・インシデント」を未然に防ぐ能力も高まっていきます。

 

失敗を書き、そこから得た教訓を次に活かす。この積み重ねが、自身の成長を加速させ、チームや組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。失敗を恐れず、むしろ積極的に記事に書いて共有していきましょう。それが長い目で見て、大きな成果をもたらすはずです。